予想したとおりの子どもになるピグマリオン効果について考えてみました。有名なお話です。アメリカのある心理学者が田舎の小学校の先生に、学力の伸びを予想できるテストを開発したので試してくれるように頼みました。 先生は喜んで応じましたが、テストの結果の報告を見て驚きました。クラスの20%ほどの子どもがリストアップされていたのですが、先生が伸びると予想していた子に交じって、今までどうしようもないとあきらめていた子の名も入っていたからです。 それから、8カ月後、心理学者の指摘したとおりの結果が出ました。伸びると予想された子どもたちの成績が、明らかに上がったのです。先生は喜びましたが、心理学者は謝りました。実は、心理学者は、クラスの名簿からデタラメに名前を選び出しただけだったのです。 そうとは知らず、先生はダメだと思っていた子どもたちも伸びると信じ込み、無意識のうちに態度や教え方が変わり、よい指導が行われたのでしょう。このように、子どもの能力に対する教師の期待が学習効果に影響を及ぼすことを“ピグマリオン効果”と言います。 ピグマリオンとは、ギリシア神話に出てくるキプロス王です。彼は、自 分でつくった象牙の美少女像を、まるで人間であるかのように熱愛しました。愛と美の女神アフロディテは、彼の願いを入れて彫像に生命を吹き込み、美女ガラテアが誕生します。ピグマリオン は、ついに夢がかなって彼 女と結婚し、2児をもうけました。イギリスの有名な劇作家バーナード・ショウは、この伝説を基に戯曲『ピグマリオン』を書きました。かって大ヒットしたミュージカル『マイ・フェア・レディ』は、これを原作に脚色をしたものです。 また、ある人が雑誌に書いていました。 ある親から聞いた話です。「長男の1年生の通知表には『頭脳明晰』とあったので、この子は出来るんだと思いこんで育ったせいか東大に入った。ところが次男の方は『お兄ちゃんと比べるのはかわいそうです』と言われた。そのつもりで育てた結果が、やはりいわ ゆる非有名校・・・」と。その親は、教師の一言一句がピグマリオン効果をもつことをもっと考えてほしいといっておりました。 このようなことから、子どもたちのセルフイメージ(自分のことをどのように思っているか)を大切にしてあげたいものです。 また、有名なアメリカの心理学者の実験にも、次のようなものがあります。 同じ学力を持った子どもたちを2つのグループに分けます。そして、一方のグループには、易しい問題から並べたテストをやらせます。そして、出来ても出来なくても褒めるようにします。 もう一方のグループには、難しそうな問題を先に並べておきます。もし、出来ても褒めません。あまり感情を持って接しないようにします。そうすると、数週間後には、はっきりと差が出てくるというのです。 「教師(親)が変われば、子どもが変わる」というのは、この心理学者の実験からよくわかります。 学校や、家庭での子どもたちに対する接しかたを改めて考え直さなければいけないなと思い知らされます。 ある感情を抱けば、それが顔に出ることはおわかりでしょう ところが現在では、それが逆にもなることが判明しています 人間の心は、顔に出た表情と同じになるのです つまり、苦しいときでも笑みを浮かべれば心は苦しんだりしないし 悲しい顔をすれば心の中でも悲しくなってしまうわけです ーーポール・エックマン(カリフォルニア大学心理学教授) ロサンゼルス・タイムス誌紙上にて ジャンル別一覧
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